議会報告

平成10年度県議会定例会 一般質問

1998/09/29

■本庁組織の再編統合素案について

(1)県政全体として期待する再編の効果について

 本庁組織の再編を考えてみた場合、まず組織が担う仕事の中身を抜本的に見直し、硬直した縦割り型の組織を大胆に効率化するなど、まさに県の行政の仕組みを改革し、県民サービスを向上させるものでなくてはならないものと思う。既に取りまとめられた素案の評価は、組織の姿や数値からだけではなく、県政の質的な向上がどれだけ図られるのかにもよるものと私は考える。
 そこで、このたび示されました本庁組織の再編統合素案では、部局、室課が再編されることにより組織の10%目標は大きく達成されることになったが、これによって県政全体としてどのような再編の効果を期待されているのか、知事の所見を伺いたい。
(知事答弁要旨)
 組織再編が、単に組織数を減らすという数合わせが目的ではないというのはおっしゃるとおりでございまして、私どもも、それによりまして仕事の中身や進め方におきまして簡素・効率化が図れないか、また時代のニーズにふさわしい行政サービスがどういう形であれば一番提供しやすいか、あるいは県の果たすべき役割が県民の期待と一致しているか、そういった観点から一つ一つ見直した上で、それを県の組織として効率的、機能的に動く形はどんなものかというような視点を持ちまして、見直しを図ったつもりでございます。
 この再編によりまして、本庁職員の数を295名削減をできる、こういうことに相なりましたので、それもまた行政システム改革の一つの目標である職員数の削減にプラスの効果をもたらした、こんなふうにも見ております。
 ただ、こういった組織の再編だけで県政全体の質的向上が図られるというようなことを申し上げられるわけではございませんで、これを一つのプロセスといたしまして、今後さらにいろいろな面で必要な見直しは行っていかなければいけない、こんなふうに考えております。

(2)環境部と農政部を統合することのメリットについて
 今回の素案を見てみると、農政部は一体として環境部と統合することとしており、農林水産業を分割しようとしたこれまでの案よりも、農林水産業の特徴をより生かした部局再編案であると思うところでありますが、しかしながら、環境行政は大変に幅広い領域にわたるものであり、事業の実施を具体的に進めている農政行政とは、やや違和感があると感ずる人もいるのではないかと思うのであります。また、どのような効果を期待しようとしているのか、いま一つ明らかではない。
 そこで、このたびの素案では、農政部を環境部と統合し、環境農政部とするとしているが、これにより具体的にどのような再編メリットがあると考えているのか、知事の所見を伺いたい。
(知事答弁要旨)
 具体的にメリットがどういうことが考えられるかということでございますけれども、例えば、生態系保全型の農業用水路づくりなど、環境と調和する農林水産業の振興が図られるということも挙げられましょう。また、みどり行政の一元化を図ることによりまして緑に関する総合調整機能を強化をするということで、丹沢大山保全対策、あるいはその対策と水源森づくりとの一体的推進というような効果的な展開も期待できるのではないか。また、多彩な森づくりによる野生動物の保護と、もう一つ、農作物被害などの防止という観点から見て、野生動物対策の一体的な推進を図るというようなことも考えられるかな。さらには、ダイオキシン類あるいは環境ホルモン等の新たな課題への取組につきましても、農業総合研究所、環境科学センターなどの研究機能の連携強化というのも、よりスムーズになるのではないか、こんなようなメリットが挙げられるわけでございます。そういうことも考えまして、今般の案といたしたわけでございます。

(3)農政行政と商工行政の今後の連携について
 神奈川という都市の中の農林水産業を考えてみた場合、消費者が生産の身近な場所にいるというメリットを生かし、消費者ニーズに即した安全で新鮮な食料を県民に提供していくためには、商業や流通業との連携を強化して、都市農業を振興していくという視点は大変重要なことと思う。今回示された素案では、農政行政と商工行政は分離された形となったが、これでは、これまで産業労働部門でのメリットとされた、流通・消費分野における連携は一体どうなるのかという疑問が生ずる。
 こうした連携は組織対応でなくとも効果を発揮できるものと思うが、環境農政部と商工労働部との間で流通・消費分野の施策展開について、何か連携方策を考えていられるのかどうか、知事の考えを伺いたい。
(知事答弁要旨)
 この両分野における流通・消費分野の連携というのは、いわゆる都市農業を振興するためにも大変大切な課題であろう、かように思っております。今後、農産物、水産物を含めた県内産品の生産・流通・販売活動を総合的に展開する、こういう方向性を強く進めていく、こういうことは今の部の組織でも同様に考えております。
 そこで、新たに商工労働部と環境農政部とが共同で、多様な流通ルート開拓等の事業連携の方策を検討する会議を設けよう、さらには部局間で分担、連帯しながら一次産業も視野に入れた流通関連施策の展開に向けて取り組んでいこうということで、この取り組みは、課といたしましては従来の商業観光課が扱うわけでございますけれども、ただいま申し上げましたような観点を明確にとらえて活動をするという意味合いも込めまして、これを商業観光流通課というような形で、より充実した形で流通問題に取り組むというようなことも課ベースの話としても考えているところでございます。

(4)環境農政部となることによる農政行政における規制強化懸念について
 一般的に環境行政イコール規制行政というイメージが抱かれがちであり、環境部と農政部との統合が、何か農政行政への環境規制の強化につながるのではないかといった懸念が農林水産業に携わる方々に生ずることも、いたし方がないと思う。
 そこで、環境部と農政部との統合により、農林水産業への規制強化になるのではないかという懸念に対して、知事はどのような考えをお持ちなのか、伺いたい。
(知事答弁要旨)
 従来から環境部、いろいろ公害・環境対策ということで、確かに規制業務もやってまいったわけでございますけれども、今度統合したからといって、よりそれが農政部の仕事に強くなるということはおよそ考えがたいことでございまして、逆に統合によりまして、農林水産業の方々が環境ということを打ち出した形での、よりいろいろな活動が強まっていただけるのではないかなと思っています。例えば、都市農業としての有機農業あるいは無農薬農業というようなものについては、よりクローズアップしやすいような形になるのではないか、など、これまでの密接なプラスの関係が強まるということも考えられるというふうに私どもは思っております。

■自然環境の保全について

(1)丹沢大山自然環境保全対策検討委員会における検討状況について
 県民の休養に資するという意味からも、自然の緑が豊富に残る丹沢山地は私たち神奈川県民にとって貴重な財産であり、その自然環境を保全していくことは大変重要なことである。
 ところが、1997年3月にまとめられた丹沢大山自然環境総合調査報告書では、丹沢山地の稜線部を中心に広がっているブナの立ち枯れ、ササ類、オオモミジガサ等の林床植生の退行、ニホンジカの栄養状態の悪化、大型動物個体群の孤立化といった深刻な自然環境の劣化の状況が報告をされている。私も、神奈川を代表する自然の宝庫・丹沢山地の自然環境が急速に衰退している状況からしますと、一刻も早く自然環境管理に関する総合的な計画を定めて、積極的に保全のための行動をとる必要があると考えますが、丹沢山地の保全は貴重な自然環境を次なる世代に残すためのものであり、県民にとっても期待するところが大きいと思う。現在、丹沢大山の保全計画の検討を進めていると聞いているが、ぜひとも実効性のある計画を策定していただきたい。
 そこで、現在、丹沢大山保全計画の検討状況はどのようになっているのか、伺いたい。
(知事答弁要旨)
 次に、丹沢大山の保全計画の検討状況でございます。
 現在、丹沢大山自然環境総合調査報告書をちょうだいいたしまして、それを踏まえまして具体的な取組に入っているところでございます。その取組の組織といたしましては、一つは学識経験者から成る丹沢大山自然環境保全対策検討委員会、もう一つは県庁内の横断的な組織である丹沢大山自然環境保全対策推進会議、この二つの組織で、今、総合的な保全計画の策定に向けて検討をいたしております。
 計画は今、作成中でございますが、今後、県民の皆様の意見を聞きながら内容をさらに詰めさせていただきまして、本年度中の策定を目指してまいる、こういうことでございます。

(2)都市近郊緑地の保全について
 県内には丹沢大山のみならず、箱根、津久井、三浦半島といった地域には、まだまだ自然は残っておりますし、横浜、川崎といった都市近郊にもかろうじて自然は残されているのであります。特に、都市近郊にわずかに残された身近な緑をこれ以上後退させないことが、私たちに課せられた義務であると思う。
 そこで、都市近郊の身近な緑を保全するために、現在どのような取組をされているか、伺いたい。
(知事答弁要旨)
 次に、都市近郊における身近な緑の保全についてお尋ねをいただきました。
 この点につきましても私ども、県土構想の一つの大きな課題として位置づけております。「都市のみどりの創造と保全」ということで取り組んでいるわけでございまして、身近な緑の保全につきましては、具体的には地権者のご理解と協力をいただきながら、緑地保全地区等の指定、それからもう一つはトラストの活用による保全ということで、二つの方策を中心に進めております。
 県と市町村との役割分担といたしましては、県は主として複数の市町村にまたがる広域的な緑地を対象としよう、市町村はみずからの地域のもの、こういうような一応の役割分担のもとで、身近な緑の保全に取り組んでいく、こういう実態でございます。

(3)自然環境に対する意識について
 貴重な自然環境を次世代に引き継いでいくには、幅広い県民の意識の向上が必要であり、そのためには子供のころから環境保全に対する理解を深める必要がある。しかしながら、都市化、少子化の中で、子供たちが自然とのふれあいを体験する機会は少なくなっているのが現実である。今こそ子供たちに自然が与えてくれる恵みや楽しみ、そして自然の怖さなどを実際に体験してもらう必要がある。このような体験を積むことで自然の営みに対する理解も深まり、環境保全の態度や心がはぐくまれ、心豊かな青少年を育成する上でも役立つと信じている。
 そこで、次の時代を担う若者たちが、自然環境保全など神奈川の諸課題に沿って行う国際体験活動について、知事はどのような考えをお持ちなのか。また、青少年の育成や指導者の養成でも、自然環境への理解につながるような体験活動を取り入れる必要があると思うが、どのように取り組まれているのか、併せて伺いたい。
(知事答弁要旨)
 自然環境保全を進める上での青少年に対する期待についてのご質問をいただきました。
 議員からもご紹介をいただきましたとおり、平成9年度からスタートいたしました青年の国際体験活動につきましても、モンタナ州のイエローストーン公園での体験、あるいは加えましてのモンタナ州立大学での環境学習、こういうような実績も、おかげさまででき上がったわけでございます。こうやって国際的な体験活動で身につけました自然環境保全の考え方あるいは取組方を、青年の方が戻られてから県内の環境保全にそれを役立ててくださるというような動きもあるようでございまして、こういうような形の動きが今後ともより高まっていってほしいな、さらにはこの体験活動、大変青少年の関心を寄せておるところでございますので、内容、量ともに充実したものとして、その中の一つの重要な項目として自然環境保全ということを据えていきたいな、こんなふうに思っております。
 次に、同じく青少年の環境に対するかかわりといたしまして、体験的な活動というのは国内でも非常に大切である、そういうお話をちょうだいいたしまして、県としてどういう形で取り組んでいるかということでございますが、一つは、そういう青少年の方が取り組むのにふさわしい場づくりというようなことで、いろいろと工夫をいたしております。ふれあい教育を展開する場といたしまして3カ所用意をいたしておるわけでございますし、また、丹沢山中でのキャンプ等々でも、お話のような場を提供いたしている。それから、そういったことを指導するリーダーをつくり上げていくということも、また県の役割として大切なこととして心がけておりまして、青少年指導者の育成ということで、いろいろと必要な研修を行っている、こういう形で、自然環境への青少年の取組に対して支援をいたしているところでございます。

■県と川崎市との関係について

(1)川崎市北部への県主体プロジェクトの実施について
川崎市の人口を8月1日現在のデータで見ますと、最も人口が多いのは、市役所のある川崎区ではなく宮前区であり、さらに多摩区も19万2,500人と、川崎区の19万5,000人に迫る勢いで増加しており、川崎市の北部で人口の増加が目立っている。
 政令指定都市としての川崎市との役割分担を十分に踏まえつつ、市民の余暇活動あるいは生活の質の向上に資するようなプロジェクトを構想できないものでしょうか。現在の新総合計画21の地域プロジェクトを拝見いたしますと、京浜臨海部にはさまざまなプロジェクトが構想されているのに対しまして、北部地域には、芸術のまち構想というのがございますが、事業主体は県ではございません。人口の構成比にかんがみても、川崎市北部に何らかの県主体のプロジェクトが必要と私は考えますし、そのことが神奈川県民としてのアイデンティティの醸成にもつながると思うのであります。折しも、間もなく新総合計画のローリング作業が始まるときでもありますが、以上の点につきまして、知事の考えをお聞かせ願いたい。
(知事答弁要旨)
 議員からもお話しいただきましたように、県主導のものがないではないか、こういうお話でございますけれども、その場その場いろいろなプロジェクトの性格によりまして、川崎市とも相談して進める、あるいは民間の方が主体になって自治体がバックアップする、いろいろな形がございますので、県主体に余りこだわっていただかない方がいいな、こういうふうに率直に申し上げたいと思うわけでございます。
 例えば、県主体で何もやっていないかというと、そうではございませんで、例えば恩廻公園の調節池の整備などは、これは県主体でやっておるわけでございまして、今後ともふさわしいものがあれば、いろいろご相談にも乗らなければというふうには思っております。

(2)川崎市パスポートセンターについて
 今年の6月県議会定例会警察渉外常任委員会において、川崎市内にパスポートセンターの支所を設置する計画が発表され、このことは新聞にも報道されたところである。政令指定都市である川崎では、年間7万5,000件の申請件数があり、早い時期にパスポートセンター支所を設置し県民サービスの向上を図るべきであると思う。
 設置に当たっては、川崎市北部の高津、宮前、多摩、麻生の4区の人口は既に70万人を超え、市全体の57%にも及んでいること、また、川崎市北部は田園都市線と小田急線が通っており、都心への通勤・通学者や横浜北部の方にとって交通の利便性が高いこと、さらに県全体のパスポートセンターの適正配置などを加味して検討すべきと考える。
 そこで、パスポートセンター支所について、業務開始の時期の見通しを含め、知事の所見を伺いたい。
(知事答弁要旨)
 ご案内のとおり、大変神奈川県、パスポートにつきましては県民の方々の需要が多いわけでございまして、この際、その大きな地区でございます、川崎市にもひとつパスポートセンターを設けようというふうに考えて、いろいろ具体的に検討を進めているところでございます。
 では、川崎市の中でどの場所がいいか。議員は、全体の住民の数等から言って北部地区へ、こういうご提案もいただいたわけでございます。利用者の便が一番いいところというようなことを、あれやこれやとファクターを考えなければいけないわけでございますが、私ども現在のところの考え方としては、川崎市内を縦断する南武線の利用、あるいは湘南地区あるいは三浦半島地区から東京へ通勤する方々の利用の便、そういう広域的な利用の便等を考慮いたしますと、川崎駅周辺が有力な候補地というふうに考えられるのではないかということで検討をいたしております。川崎市の中でどこがいいのかということにつきましては、地元の川崎市の意向なども踏まえまして最終的に決定をしてまいらなければならないというふうに思っております。
 業務開始の時期につきましては、パスポート発給につきましては国においてパスポートを作成する機械、あるいは国とオンラインで結ばなければいけない、こういうことで、予算措置が国としても必要だということで、平成12年度当初に開設ができるよう国に要望をいたしている、以上が現状でございます。

【自席発言】
知事には大変ご丁寧にご答弁をいただき、ありがとうございました。
 時間がないようであります。しかして1点だけ要望させていただきたいと思います。
 川崎と神奈川の関係でありますけれども、非常に、神奈川は政令都市が二つということで、横浜市は県庁所在地でもあり、また政令指定都市ということで、二重の行政のサービスが手厚く施される、こういうふうにも考えられるわけでありまして、川崎市120万余の市民にとりましては、他府県に参りますと県庁所在地ということになろうかと思いますが、神奈川ではそうではありません。かえってむしろ政令指定都市のみの行政ということで、非常に県行政が薄くなってしまうのかな、こんなふうにも思えるところであります。
 パスポートセンターを1点とらえさせていただいたわけでありますが、川崎にパスポートセンターをということになりますと、通常の考えですと、やはり都心部の川崎駅、こういうふうな発想になろうかと思いますが、横浜市にはパスポートセンターの本店があるわけであります。となりますと、こうした利用される方も、競合も至近距離ということで当然考えられるわけでありますし、むしろ川崎市、あるいはまた県ということの中で、県の北東部というエリアの中で、川崎北部、そして横浜の北部の方々の利便の用に供する、こうした発想の中でパスポートセンターの位置も考えていただくということが、これ大切なことではないかと思います。
 地方分権が進んでいる中、こうした両政令指定都市の行政区を乗り越えた中でこうしたことを立地していただけるということは、神奈川県ができる行政であると思っておりますし、また、何よりも地方分権が進んでいるということは、県に置きかえてみますと、こうしたことが神奈川県の中の地方分権に私はつながることと考えておりますので、こうした点、強く要望させていただきまして、今後の県行政の中に大きく生かしていただきたいと思います。