田島議長のお許しをいただきましたので、私は自由民主党県議団を代表し、ただいま民主党・かながわクラブから提出された議員提出第9号議案「神奈川県議会議員の定数、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例の一部を改正する条例案」について、反対の立場から討論を行います。
 初めに、今回の議員定数等の検討経過から見たこの議案の矛盾点について申し上げます。
 本県議会では、昨年9月に、議会運営委員会の場で、私が自民党の委員として呼びかけの発言を行い、神奈川県議会会議規則に協議及び調整の場として位置づけた議員定数等検討委員会の場において、議員定数等の見直しについて協議することといたしました。
 当委員会は委員11人で構成され、委員は、各会派の議員数に応じ、自民党5人、民主党・かながわクラブ4人、公明党1人、県政会1人の委員が選任されたところであります。このように選任された各委員は、各個人としての立場のほかに、当然のことながら、会派の代表という側面を持っているものでございます。しかも、重責を担う副委員長には、民主党・かながわクラブの平本さとし議員が選出されたところであります。
 本議案のように極端な定数削減案をお出しになるのであれば、そして、それが県民から見ても正義にかなうものとお考えなのであれば、民主党・かながわクラブは、自民党の呼びかけを待つのではなく、相当の覚悟をもって、当初から各会派にみずからが呼びかけを行い、真剣に実現を図るのが筋であったと考えるところでありますが、その点は改めて指摘させていただきます。
 さて、当委員会では、公職選挙法の制限や、国勢調査結果の公表時期の遅さなど、さまざまな課題を踏まえ、協議を重ねてまいりました。その協議の中では、民主党・かながわクラブの委員の方々から、定数削減の方向性であるという発言がなされておりました。もちろん私ども自民党も公明党も、協議の中では定数削減の必要性を視野に入れた議論をしてきたところであります。
 しかし、私どもといたしましては、委員会報告書にもあるように、1点目として、国勢調査の結果公表時期、また、2点目として、合区を行う場合に必要な周知期間、そして、3点目として、公職選挙法第15条第3項による任意合区の制限という諸般の事情にかんがみ、今回は時間的な面から、改正が何としても難しいとの苦渋の決断に至ったものであります。この苦渋は、4会派が共通に抱いていたものであったはずであります。
 ところが、共通の苦渋を抱いていたはずであるにもかかわらず、協議の最終盤の2月17日になって、民主党・かながわクラブの委員から、突如、定数90という意見の表明があり、委員会の結論は採決によって出されることとなりました。
 もとより、議員定数等検討委員会では、全委員が合意できるよう、中村委員長を初め、努力してこられたところであります。結果として、採決という方法をとらざるを得なかったことについては、私も委員の一人として非常に残念に思っております。
 そして、採決の結果は、多数をもって定数が107とされ、その後、三浦郡については現行どおり逗子市と強制合区し、選挙区別定数については2増2減にするという案が区分して採決されました。何とこの件については、民主党・かながわクラブの委員も了承し、全会一致となったところであります。
 それでも、民主党・かながわクラブから表明のあった定数90については、協議結果報告書にその他の意見として記載し、議長に提出したところであります。そして、この段になっても、選挙区設定の提案についてはどなたからもなされなかったのであります。
 しかるに、このたび民主党・かながわクラブからは、議員の定数を90とする改正案の提出がなされたところであります。議員定数等について協議するため、議会に設置した委員会に委員を出し、その結論について、平本副委員長を初めとする同会派の全委員が同意されている中で、このような委員会における結論に異を唱える提案が出てきたことに驚きを禁じ得ません。
 民主党・かながわクラブの皆様が、議会で設置した委員会において、ご自分たちの会派を代表して委員となっている4人の方々が賛同した当委員会の協議結果を無視するような議案を提出することについて、同じ会派の一員として、どのように考え、この議案をお出しになったのか、我々にとっては、全くもって理解しがたいところであります。
 このようなことは、民主党・かながわクラブへの信頼を失わせるものでありますし、正式に設置された委員会での協議は、今後成立し得ないものとなることを憂慮せざるを得ません。
 次に、強制合区を伴う選挙区の問題でございます。
 これについては、先ほども質疑の中にもございましたが、県議会議員選挙の立候補予定者説明会が明後日の4日から始まり、選挙の告示日まで1カ月を切ったこの時点で、新たに五つの強制合区を伴う選挙区割りの変更は、現実的には難しいと考えます。
 この点について、検討委員会の中で、民主党・かながわクラブの委員からは、選挙区割が変わることについての県民の皆様への周知方法等について、委員会の協議や本会議での討論及びマスコミの報道等を通じて十分に周知できるものと考えているとの驚くべき発言がございました。
 選挙区割りを変更する場合、その程度の周知でよいとお考えなのでしょうか。このように重大なことを、議員みずからではなく、マスコミ頼みで周知しようというのでしょうか。また、委員会の協議の中でと言われますが、議員の定数90にしてもそうですが、この2月17日になって唐突に出されたものであります。まして、本会議の討論については、本日初めて行われるものであります。
 各強制合区の対象となる選挙区がどこで、それをどのように合区していくか、各地域の実情を一つ一つ丁寧に考え、説明されているわけでないことは明らかであります。有権者の皆様をないがしろにするものであり、分権社会の民主主義の根幹を否定するものと断ぜざるを得ません。
 このようなことから、今回の民主党・かながわクラブの提案は、成立の見込みがないことを見越した、選挙に向けたパフォーマンスにすぎないものと断定せざるを得ません。本気で成立させ、実現させようとお考えであれば、半年、あるいはそれ以上の時間をかけて、有権者の皆様方にご理解をいただき、そして、周知を図るべきものであるはずであり、誰もがその真剣さを疑うところであります。
 議会は選挙に向けてパフォーマンスをする場ではありません。県民のことを考え、真剣に議論を重ねる場であります。少なくとも、仮説の議論にて条例案を提案する場でもありません。民主党の正体見たりといったところでしょうか。
 以上、申し述べましたとおり、本条例案については極めて重大な問題点があり、到底賛成できるものではありません。
 最後になりますが、我々、自由民主党神奈川県議会議員団は、今回の議員定数等の見直しについては、国勢調査の公表時期と選挙が重なるという20年に1度の特別な年であったため、議員の定数について、選挙の際に県民等の混乱が生じないよう、定数107の現状維持とする苦渋の決断をせざるを得なかったところであります。
 次々回の選挙に向けては、議員の定数の削減も当然視野に入れていく必要があるものと考えているところであることを申し上げまして、私の反対討論を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。