議会報告

平成16年度県議会定例会 一般質問

2004/09/27

1. 新たな視点での企業支援について

(1)産業集積促進方策について
県としても様々に施策を打ち出してきた産業振興施策は、その効果を出すことが難しい複雑な問題である。知事は、「最大80億円の支援」と華々しく発表されたが、一時的に目立つだけで施策としては消えてしまうのではないかと危惧している。
提案説明の中で、多くの時間を割いて説明された産業集積促進方策のための具体的な手法の数々は、今後、どのような効果を本県にもたらすと認識しているのか、自信を持って説明されたと思うが、具体的にお答え願いたい。
(知事答弁)
はじめに、産業集積促進方策の効果についてのお尋ねがございました。
提案説明でも御説明しましたとおり、本県では、「今後5年間の企業立地件数を過去5年間の2倍に」との目標を立て、「かながわらしい産業集積促進方策」を展開することにより、企業の県内再投資や新規立地を図ってまいりたいと考えております。具体的には、国内景気の回復傾向を基調とした企業の設備投資意欲の回復にもかかわらず、現在までのところ、本県の企業立地動向は、平成15年実績では、逆に件数・面積とも前年対比で減少するなど低調であります。
この「かながわらしい産業集積促進方策」を展開することにより、この状況を打破し、前年対比で増加に転じさせてまいりたいと考えております。
また、ある程度核となる求心力のある企業の進出を誘導することにより、関連企業やそれらの企業に対するサービス提供企業などの立地の誘発といったさらなる集積の加速など、地域経済にとってプラスの波及効果を生じさせてまいりたいと考えております。
お尋ねのありました産業集積の効果といたしましては、㈰新たな雇用が生まれることによる県民の就業機会の拡大、㈪新たな取引や事業機会の拡大による中小企業を含めた関連産業全体の活性化、㈫地域の特性を生かした産業の集積による地域全体の活性化、㈬企業活動が活発化し、税収が増加することによる県民サービスの向上、などが図られると考えております。
今後、方策を展開しながら、あらゆる機会を通じて、県内再投資・企業誘致に取り組む本県の強い姿勢を企業にお伝えするなどして、見込まれる効果を現実のものとしてまいりたいと考えております。

(2)産業振興に役立つ行政対応のスピードアップについて
神奈川の産業活性化を図るためには、企業進出とともに、県内に立地している既存優良企業がしっかりとこの神奈川に根付くこともまた大変重要な要素である。企業は、厳しい企業間競争において、よりよいものをより早く市場へ出すことにより、市場における主導権をどう掴むか。また、消費者ニーズにいかに素早く反応し、製品化していくか。そうした厳しい条件をクリアしながら企業存続、事業拡大を行ってきており、技術開発とともに時間すなわちスピードも重要な項目と考えている。企業は、時代のニーズに応え続け、厳しい企業間競争、レースに勝ち残り、その存続をかけて日夜努力している。企業にとっては行政の早い対応もまた重要である。
そこで、企業支援が「ワンストップ」という入口や受付口の設置にとどまらず、行政対応をスピードアップすることが、常に競争を余儀なくされている企業への最大の支援、産業支援となると考えるが、このことについてどのように考えているのか。また、産業振興に役立つ行政対応のスピードアップをどのように実現していくのか、併せて所見を伺いたい。
(知事答弁)
「かながわらしい産業集積促進方策」の検討に際しては、企業の生の声を方策に反映させることを目的として、企業や団体に対してアンケートを行い、167企業、36団体から回答をいただいたほか、企業を直接お訪ねしてヒアリングも行ったところでございます。
その結果、企業が立地を考える際にメリットを感じるのは、経済的インセンティブに限らず、許認可などに要する行政のスピードある対応を重要視していることが明らかになりました。
議員のお話にも、企業にとってスピードは重要な項目と考えられており、行政対応のスピードアップも重要な産業支援の方策の一つであるとのことでしたが、私も全く同じ認識でございます。
次に、行政対応のスピードアップをどのように実現していくかについてのお尋ねがございました。今、申し上げました認識のもとで、方策の中では、企業進出や県内再投資に当たって必要となる円滑な法手続など、企業のニーズをワンストップで受け止める『かながわ企業誘致ワンストップ・ステーション』を設置することにいたしました。
また、このような仕組みを作ることも大事ですが、行政のスピードを上げていくためには、職員一人ひとりの意識を変えていくことも大切だと考えておりますし、この点についても十分配慮してまいりたいと考えております。こうした取組を基に、企業の新規立地などの際の諸手続や照会回答に要する時間を従来より短縮し、スピードアップすることを考えております。
例えば、立地企業ごとの専任の担当者によるフェイス・トゥ・フェイスの関係が構築されれば、許認可申請に先立って行政関係機関が一堂に会して対応するような、親身な対応が可能となります。
企業の要望を聞き、各法令等が求めている事項を総合的、迅速に企業に伝えることができるようになることで、事前相談やその後の手続など、従来ややもすれば多くの日数を消費せざるを得なかったプロセスを、スピードアップすることも可能になるものと期待しております。
このように、ワンストップで企業のニーズを的確に受け止め、行政のスピードアップを図ることにより、新規の県内立地はもとより、既存企業の県内再投資の促進を図ってまいりたいと考えております。

2. 緑豊かな都市空間について

(1)質の高い緑の確保について
みどりの保全を担う本県の都市公園整備の状況をみると、これまでは、人口の急増と都市化の進展による開発抑止の政策から、主に県西部に新規都市公園を計画し、現在でも鋭意整備を実施しているが、これからはむしろ、県民が日々の生活で身近にみどりの効果・効用を感受できること、すなわち人口の集中する都市域にみどりの整備を行うといった施策へ軸を移すべきと考える。
そこで、まず、本県のみどりの現状について、県西部の状況と県東部特に都市域のみどりをどのように認識しているのか。また、そうした視点に立ち、都市のみどりについての量の確保はもちろんのこと、質的な面からも魅力ある公園や緑地の確保等、都市における質の高いみどりの確保に向けた取組を積極的に行っていくべきと思うが、併せて所見を伺いたい。
(知事答弁)
次に、緑豊かな都市空間の形成のために、まず、都市域のみどりを、どのように認識し、都市における質の高いみどりの確保について、どのように取り組むのかとの、お尋ねがありました。
本県のみどりの現状ですが、みどりに対する県民ニーズが多様化し、地球温暖化、生物多様性の確保等の、新たな課題への対応が求められる中で、県全体として平成15年度末で約11万8千ヘクタール、県土面積の約49%のみどりが法的に守られ、保全されております。
しかし、県西部では、自然公園等により量的には確保されているものの、ブナ林の立ち枯れなど質的な悪化が指摘され、一方、県東部では、緑地保全地区や都市公園等によって貴重なみどりが残されてはいるものの、斜面緑地等の開発が進み、みどりの量は非常に少なくなっていると認識をしております。
都市域において、緑の量を拡大していくことについては限界もありますが、都市域の緑の創出を図っていくことは、極めて重要な課題と考えております。
そこで、都市の質の高い緑を創出していく取組みについてでありますが、国においては「社会資本整備重点計画」を策定し、都市の緑の指標として、従来の都市公園に、道路、河川、港湾の緑化等が新たに加わり、「都市域における水と緑の公的空間確保量」という整備目標が掲げられました。今後、本県といたしましても、緑の整備を一体的に進めていく観点から、新たな目標設定を行い、取組みを積極的に進めてまいります。
具体的には、市街地に網の目状にめぐらされた道路や河川空間の連続した緑と、公園・緑地による拠点となる緑の整備を一体的に進める「緑の回廊」の形成を図ってまいります。こうした取組みを強化することによって、身近に自然との触れ合いが可能となる質の高い緑地空間が確保されるものと考えております。
既に取り組んでいる一例を紹介しますと、横浜市と藤沢市にまたがる「境川遊水地」におきまして、河川事業と連携し、約30ヘクタールの区域を県立都市公園として整備するため、本年度より事業に着手いたしました。
このように、効果的、効率的に都市の緑を確保し、「緑の回廊」を形成する緑地空間を創出することによって、都市の風格や魅力が高められるよう、今後とも積極的に取り組んでまいります。

(2)街路樹剪定士の技能について
(※17年度からモデル事業実施予定)
造園業団体では、樹木の生理・生態や街路樹に関する高い技術を併せ持つスペシャリストの養成を目的として、平成11年度に「街路樹剪定士認定制度」を発足して以来、毎年度「街路樹剪定士」を誕生させるなど、高度な技術者の育成に取り組んでいる。街路樹剪定士の技能は、確実に美しい街づくりに資するほか、樹木の剪定委託業務において、街路樹剪定士の配置を入札資格要件化することによって、多くの街路樹剪定士が生まれることになり、そのことは人材の蓄積とともに技能の蓄積にもつながる。

そこで、このような造園業団体の取組の中で、街路樹剪定士の技術・技能について、県としてどのように評価し、活用していくのか。また、少なくともモデル地区を設定するなどして、すぐにでも試行すべきと考えるが、併せて所見を伺いたい。
(知事答弁)
街路樹は、公園の緑とともに都市環境の中では貴重な存在で、「親しみ」や「潤い」といった他の道路施設に見られない特有の効果をもたらすなど、道路や沿道の景観向上に果たす役割が非常に大きいものと認識をしております。街路樹剪定につきましては、目的に応じた時期、手法等を選択して、これまでも、適切な維持管理に努めてきたところでございます。
ご提案の街路樹剪定士の活用でございますが、この資格は、造園業団体が、専門的な知識の取得と施工技術の向上等を図るために設けた制度でありまして、専門的な技術者を育成する上で大変意義のある取組みと評価をしております。
さらに、県といたしましても、街路樹剪定士認定研修会に職員を参加させるなど、街路樹剪定士について理解を深めてきたところでございます。
基本的に、街路樹剪定士をはじめとする、いわゆる民間資格の公共事業への活用につきましては、関係する法令や事業等に照らし合わせた上で、公平性を確保しつつ、品質確保や安全管理等の向上などについて効果があるかどうか検証が必要であると考えております。この資格制度が、まだ、スタートしてまもないことから、まずは、造園業団体の方々による普及の促進が急がれますが、県といたしましても、街路樹剪定士の技術等について、さらに理解を深めてまいりたいと考えております。また、普及の促進等と併せて、技術の活用効果の検証も重要でありますので、樹木の種類に応じたモデル区間等を定め、試行的に導入してまいりたいと考えております。こういった取組の積み重ねによって、街路樹剪定士が活用され、ひいては、都市に残された貴重な緑である街路樹について、より質の高い維持管理が実現されることと考えております。

3. 県土整備推進の諸問題について

(1)地籍調査の促進について

平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災に見舞われた神戸では、震災復興の前に、まず地図の整備を行わざるを得ず、本格的再建に着手するまでに1年半もの時間を要した地区もあった。都市再生に民間活力を期待するのであれば、都市の開発や整備にとって基本的な調査であり不可欠な地籍調査は、行政が積極的に実施するべきものと考える。
そこで、地籍調査事業の必要性、重要性についてどのように考えているのか。また、調査の進ちょく状況からどのような対応により地籍調査事業の促進を図ろうとしているのか、併せて所見を伺いたい。
(知事答弁)
次に、県土整備推進の諸課題に関連して、地籍調査事業についてのお尋ねが2点ありました。
まず、地籍調査事業の必要性や重要性、事業の今後の促進方策についてでございます。
地籍調査事業は、災害時の迅速な復旧事業に役立つことや、境界が明快になることにより境界をめぐる紛争を未然に防止し、土地取引が活発になること、あるいは、公共事業の計画的な推進に役立つことなど、様々な効果が期待できます。
例えば、公共事業の実施に伴う用地買収の場合、地籍調査事業が完了していると用地調査を行う必要がありませんので、用地交渉も短期間で終了することができると思っております。
また、同じ地域で県道や市町村道などいくつかの事業を実施する場合、そのたびに地権者に境界確認のための立ち会いを求めなければならないという非常に効率の悪い作業を避けることもできます。さらに、地籍調査事業を実施している市町にお聞きしたところによりますと、公共事業が円滑に実施できたなどのほか、道路台帳の整備に効果があったことや、精度の高い図面に基づくため、都市計画が策定しやすくなったなどの声が寄せられております。
このように、地籍調査事業を実施することによる具体的な効果を考えますと、本事業の必要性、重要性は大変大きいものと認識をしております。
しかしながら、議員ご指摘のように地籍調査事業の進捗につきましては、本県をはじめとした都市部の都府県で、非常に遅れている状況にあります。この理由につきましては、具体的な事例を挙げますと、例えば、都市部に多い集合住宅を含む地域で地籍調査事業を実施する場合、集合住宅の所有者全員の同意取得に非常に時間がかかるほか、地籍調査が完了した段階で、新たに分筆や合筆、あるいは所有権の移転などが多く行われたため法務局への送付ができず、改めて調査内容を修正するため、しばらくの間、事業を休止せざるをえないという市町があることも進捗率が上がらない要因となっているようであります。
このように地籍調査事業は思うように進まない状況ではありますが、この事業を促進していくためには、関係市町の意向を踏まえたうえで、国直轄調査が実施された地域に優先的に地籍調査事業を導入するなどの連携を検討することも効果的ではないかと考えております。また、この事業に伴う国の負担金は、先に地方6団体がとりまとめた「国庫補助負担金等に関する改革案」において、移譲対象補助金の対象となっておりますので、事業の実施にあたっては、今後、三位一体改革の動向についても、十分見極めてまいりたいと考えております。

(2)地籍調査事業担当部局について
(※ 17年度から担当部局変更予定)
平成16年度から、市街地での地籍調査事業の進ちょくを図るため、国が直轄で行う「都市再生街区基本調査」が開始されている。初年度は全国で102億円の予算措置がなされ、本県では30市町が調査の対象となっている。
この調査は、道路や水路などの公共物を先行して測量調査することで、都市部の調査の進ちょくを上げようとするものである。実施主体は国であるが、県や市町の都市部門が保有する道路台帳などの資料提出を求められている。このようなことからも本県の都市部門が地籍調査事業を担当し、全面的に協力していくべきと考える。
都市化が進んだ本県にあって、環境農政部が本事業を担当していることに疑問を持っており、都市部門の部署が担当することにより事業の促進を図っていくことが必要と感じている。
そこで、地籍調査事業の実施については、環境農政部の所管ではなく、県土整備部の所管とすべきと考える。時代にあった行政組織の構築という視点も踏まえ、所見を伺いたい。
(知事答弁)
最後に、地籍調査事業の所管についてお尋ねがございました。
地籍調査事業につきましては、現在、環境農政部で実施主体である市町村と連携し、進めておりますが、地籍調査が始まった時代とは異なり、現在では、都市化が進み、事業実施地域も市街化区域に集中しております。このようなことを踏まえ、より効率的な事業の推進のためには、どの部局が担当するのが良いのか関係部局間で鋭意検討を重ねているところでございます。
こうした社会環境の変化に対応し、事業を進めていくためには、私も公共事業実施等で密接な関係を持つ部局、すなわち県土整備部が推進していくことが望ましいと考えておりますので、来年度からはこうした方向で所管部局を見直してまいりたいと考えております。

【自席発言】
まず企業支援についてでありますけれども、企業も社会も大きく変革する状況を見据えながら、また消費者の方々のニーズを見据えながら、企業間でそれぞれレースを行っていることかと思います。そういう背景の中で、単に企業と自治体ということでなく、また企業者側からみると、自治体、47都道府県、また市町村等々を見据えていることかと思います。そういった中で、神奈川は立地ということでは素晴らしい状況・条件があるところであります。
ですから、そう言った時に、企業のニーズとするところをいち早く対応し、スピーディーな対応を図るということが行政にとって必要なことではないかと思うし、是非とも「産業県神奈川」として、行政間の、また自治体間のベースで、いち早く名乗りを上げていただきたい、残っていただきたいと思っております。
ですから、スピーディーな行政対応の確立ということで、いち早い対応をこれからもお願いする要望を、まず達成していただきたい。
最後になりますが、緑についてでありますけれども、緑につきましては、県民は土曜、日曜ともなりますと、県東部の人口は県央、県西に移動いたします。これはやはり、緑の中に身を置くことによって安らぎを得、そして月曜日から頑張ろうという英気を得ることであり、この行動が素直にでているのではないかと思います。
いつもこの自席から知事を拝見させていただいております。少しく顔色が悪くていられるのかな、と思うことも時折あります。それは質問が厳しかったり、あるいは知事の置かれている、お立場の中で心模様が表に出られている、そういう表情が表に出ていることではないかと思います。これは知事だけではありません。私もそうであります。県民一様にして、喜怒哀楽を繰り返しながら、日々の生活を行っておりますけれども、そういった感情の中において、知事のふるさとであります、麻生区や多摩区の緑に接することによって、また気持ちも平らげくなられるのかな、県民誰しもそういう状況があろうかと思います。
それくらいに、緑というのは都市の中で有用なことであろうかと思いますし、これから神奈川県の人口も2009年には頭打ちになります。そういう状況下で、是非とも、都市で活動する県民にとって、より有用・有効な緑の量の確保と、質の向上に向けて、先ほどの剪定士の方々の活用と、民間と行政が一体となって、素晴らしい県土づくりに向けてご努力をいただきますことを要望させていただきます。
地籍調査については、境界の確認などで民間が行うとトラブルにもなりますが、公共が間に入ることにより安心感を持たれることにもなります。本事業については、いち早くふさわしい所管である県土整備部への移動をお願いいたします。